自分のApe100は初期モデルのため、ブレーキは前後ともドラムブレーキです。兄弟車であるXR100モタードや、のちに発売された「Ape Type-D」は前後ディスクブレーキとなっており、初期モデルユーザーとしては羨ましい限り。
今回はそんな憧れのディスクブレーキを導入したいと思います。まずは前提知識から。
ドラムブレーキとディスクブレーキの違い
そもそもドラムブレーキとディスクブレーキの違いはわかりますか?
ドラムブレーキは、車輪内側に付いているドラムの中でブレーキシューを広げ、ドラムに押し付けることで回転を止めます。
ディスクブレーキは、車輪と一緒に回転しているディスク(ローター)をブレーキパッドで挟み込むことで回転を止めます。
いずれも長所・短所があり、自動車やバイクはそれぞれの特性に応じて装備をしています。
ブレーキ性能の比較(ドラムvs.ディスク)
ドラムブレーキとディスクブレーキの比較について、ここではドラムブレーキの長所・短所を紹介したいと思います。同時にそれはディスクブレーキの短所・長所であると思って下さい。
ドラムブレーキが優れている点は、
- 制動力が強い
- 構造がシンプル
- 軽量
- 低コストで生産できる
といったところだそうです。
制動力が強いというのは私の想像と違っていました。
これは、サーボ効果(自己倍力効果)といって、回転するドラムにブレーキシューを押しつけることによって、ドラムに食い込む(引きこまれる)力が発生し、より強い制動力を生み出すというものです。
ブレーキを握りこんだ時、5の力で握っているのに、5⤴6みたいな感じで効いてしまう「ギュウウゥ」という感覚が正にそれです。
ディスクブレーキの場合、5の力で握れば5だけ効く、6の力で握れば6だけ効く、という風に調整がしやすいんですね。ディスクブレーキが「カチッと効く」といった表現はそのようなイメージを上手く表していると思います。
逆に、ドラムブレーキが劣っている点は、
- 放熱性が悪く、熱がこもりやすい
- メンテナンス性が悪い
- 水に弱い
- ブレーキの利きが安定しない
となります。確かにむき出しのディスクブレーキと違い、ドラムに覆われているため、発生した熱や侵入してきた水の逃げ場がありません。パーツ交換等のメンテナンス性が悪いというのは仕方ない事なのかもしれません。
また、前述のサーボ効果により、ドラムブレーキは「握った分だけ効く」という感覚を掴みづらく、微調整が難しいため安定しないというのも良くわかります。
結局、ドラムとディスクはどちらが良いの?
ドラムブレーキとディスクブレーキを比較してみると、どちらも一長一短だと感じました。
それまでの自分の感覚では、ドラムブレーキよりもディスクブレーキの方があらゆる面で優れている、みたいなイメージでディスクブレーキの圧勝という感覚だったのですが、調べてみたら一概に言えないな、というのが最終的な感想です。
絶対的な制動力が高いのはドラムブレーキ、コントローラブルでメンテナンス性が良いのはディスクブレーキ、といったところでしょうか。
自動車もバイクも特性や目的に応じてドラムブレーキとディスクブレーキを組み合わせているようです。自動車でもバイクでも、前輪はディスクブレーキ、後輪はドラムブレーキを装備している車両は結構あるみたいですね。
それでもなぜ私がApeのディスクブレーキ化をしようと思ったのかというと「見た目がカッコいいから」と「カスタムの勉強になりそうだから」です。
最終的には「どちらが優れているか」ではなく、「どうカスタムしたいか」で決めました。
Apeフロントディスク化の方法5(+1)選
さて、ここからApeのディスク化の方法について紹介します。個人的には後に行くほどおススメ度が高いです。
Apeフロントディスク化の方法① 社外キット
まずは社外キットを使用する方法。フロントディスク化を行う際に必要なパーツを詰め合わせている商品を使用します。
自分で揃えようとするとパーツを色々集めなくてはいけませんが、ディスク化キットの名の通り必要なパーツが一式セットになっているのでその手間がありません。
しかしながら海外製のものが多く、説明書が分りにくかったり(説明書が無い場合もあるようです)、材質・仕上げや精度に難がある(ネジ穴が合わずポン付けできなかった、フォークオイルが入っていなかった、等)ケースが多いということも聞きます。
細かいことは気にしない方や、多少の不具合については自分で対応できるという上級者向けではないかと思います。
Apeフロントディスク化の方法② フロントディスクハブキット使用
次はSP武川やKITACOの製品、フロントディスクハブキットを使用する方法。Ape純正タイヤのドラム部分をディスクハブに交換してディスクを付けられるようになるパーツです。
純正タイヤを使用できるのがメリットですが、別途NSRmini系のメーターギヤやケーブル、キャリパーやマスターシリンダー周りを用意したりと、作業としては下記③以降とあまり変わらないと思います。
パーツ自体も現在は廃盤になっているようです。
Apeフロントディスク化の方法③ NS-1ボトム+Apeインナー流用
NS-1のフロントフォークを用意し、インナーチューブをエイプのものに打ち換えて使用します。
ただ、打ち換え作業は専用工具が必要になってきますし、初心者(もちろん私自身も)が自分でやるにはちょっと難易度が高いと思います。打ち換え作業はショップ等にお願いすることになるかもしれません。ネットオークション等では既に打ち換え済みのフォークが出ていたりしますので、入手自体は難しくないと思います。
その他ホイール・キャリパー・ケーブル・マスターシリンダー等はNSRminiやType-D、XRモタードのものを流用することになるので、状態の良いものを揃えられるかが勝負です。
Apeフロントディスク化の方法④ XRモタードフロント周り流用
ここからがかなり現実的なラインになってくるんじゃないでしょうか。Apeとフレームがほぼ同一の兄弟車であるXR50・100モタードは初めからディスクブレーキが装備されています。このXRモタードのフロント周りを丸ごと移植することでApeのディスク化が可能です。
(追記:私はフロント・リアともにこの方法でディスク化しました。その様子はこちら↓↓↓)
ネットオークションにも一式¥40,000前後(2023年5月時点)でコンスタントに出品されているので、まだ入手可能だと思います。
◎Ape(ドラム)のフォークを抜く → XRモタードのフォークを差し込む → 完成 です。
もちろん、ブレーキレバーの交換やマスターシリンダーのハンドルへの固定、ヘッドライトの固定等、細かい仕上げ作業は必要になりますが、簡単に説明するとこんな感じです。
注意点を挙げるとすれば、XRモタードのフォークはApeよりも3cmほど長いので、そのままだと前上がりになってしまいます。フォーク長を維持したいなら、突き出し可能な社外トップブリッジを入手するか、Apeフォークへの打ち換えが必要になります。
Apeフロントディスク化の方法⑤ Type-Dフロント周り流用
やっとここまで来ました。今のところ、これが大本命になるのではないでしょうか。これが出来れば1番簡単にディスク化できます。それは「Ape Type-D」のフロント周りを移植することです。
基本的なパーツ構成はXRモタードと同様ですが、フロントフォーク長がドラム式と同じなので全く違和感無くコンバートが可能になります。
ネットオークションで見ると、XRモタードのフロント回りと比べてかなりタマ数が少ない印象ですが、入手さえできればこれが最も簡単です。
Apeフロントディスク化の方法(おまけ) 倒立フォーク化
さて、これはおまけで扱いですが、Apeのディスク化には他にも方法があります。それが「倒立フォーク化」です。
名だたるSS(スーパースポーツ)バイクで採用されている倒立フォーク。今ではモンキー125やGROMなど、HONDAの新しい4miniには全て装備されているようです。
剛性が高く、バネ下重量軽減によるステアリング慣性の低減が得られるというのですが・・・正直メカニズムはよくわからないです(涙)。
ただ、見た目がカッコいいのは間違いありません。今回は2種類紹介します。
KSRフォークの流用
カワサキのミニバイク、KSRシリーズの倒立フォークを流用する方法です。
この倒立フォークを装着するためのステムキットがG’craftから発売されていましたが、現在は廃盤のようです。KSRフォークは中古のタマがそこそこあるようなので、ステムが手に入ったら是非挑戦したいですね。
RS125フォークの流用
同じように、HONDA HRCのレーサーモデル、RS125も倒立フォークを装備しており、こちらもG’craft製の専用ステムを使えば装着可能です。
こちらはKSRと違ってレースベース車なので、そもそものタマ数が少なく、フォークが出回ることもめったにない、まさにお宝レベルのカスタムになりそうです。
今後はモンキー125やGROMなどのフォークを流用できるステムキットなどが出ると嬉しいですね。
まとめ・感想
今回はApeディスク化の記事ではなく、カスタムに向けて仕入れた知識を紹介するところまででいったん区切ります。
始めは「ブレーキをディスク化をしたい」という漠然としたアイデアだったのが、調べていくうちに実現するにはいくつかの方法があって、自分の思い描くゴールは何なのか、予算内で収めるにはどのようにしたら良いのか・・・などと、色々考えさせられました。
なにぶん初心者なもので、色々ちんぷんかんぷんな中でしたが、次回は何とか奮闘してディスク化にこぎつけた様子を紹介しようと思いますので、よろしくお願いします。
※バイクカスタムは手順・方法を誤ると怪我や事故の原因になる可能性があります。実施にあたっては必ず自己責任でお願いします。また、当サイトは不正改造を推奨するものではありません。
当サイトにおいて紹介しているカスタムについては、予め保安基準・交通法規等を確認し法令の範囲内で実現可能な内容で実施していますが、万が一そうでないケースがありましたら是非ご一報ください。よろしくお願いします。
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