これまで、Apeのトルク・パワーアップに直結するカスタムを行ってきました。
インシュレーター外し → マフラー交換 → キャブ交換(PD22) → CDI交換 → プラグコード交換 → イグニッションコイル交換 → カムシャフト交換 → キャブ交換(TM-MJN24)
Apeに限らず、マシンをパワーアップさせていくと、追加されたパワーを加速か最高速のいずれかに振り分けることができるようになります。
Ape100の純正スプロケット丁数はフロント15T、リヤ33Tですが、私はインシュレーター外しを行なった後にフロント(ドライブスプロケット)を16Tに変更し、リヤディスク化の際にリヤ(ドリブンスプロケット)を32Tに変更しています。
今回はApeのケースを例に自分なりのスプロケット交換の考え方をご紹介しようと思います。
そもそも、スプロケットとは?
スプロケットは、バイクの動力伝達において重要な役割を果たす歯車状の部品です。
エンジンの回転力をチェーンを介して後輪に伝える役割があり、エンジン側にフロントスプロケット、後輪側にリアスプロケットが取り付けられています。
Apeような小型バイクではスプロケットの歯数(丁数)変更が加速性能や最高速度、燃費などに与える影響は大きく、それ故セッティングを疎かにできない側面があります。
スプロケットの材質は主に鉄やジュラルミン(アルミニウム合金)が使用されており、耐久性と軽量化のバランスが取られています。純正スプロケットは鋳鉄製ですが、社外品ではジュラルミン製も人気があります。
スプロケットの摩耗は、チェーンの寿命にも大きく影響します。
特にチェーンの張り具合やスプロケットの歯の形状には注意しましょう。歯が尖ってきたり、波状に摩耗している場合は交換時期のサインです。
一次減速比と二次減速比
バイクの動力伝達において、一次減速比と二次減速比は重要な概念です。
これらの比率を理解し適切に調整することで、マシンの性能を最大限に引き出すことができます。
一次減速比は、エンジンのクランクシャフトからクラッチまでの減速比を指します。
Apeの場合、この比率は固定されており、ユーザーが変更することはできません。一次減速比は通常、エンジンの高回転を適切な回転数まで落とす役割を果たします。
一方、二次減速比はフロントスプロケットとリアスプロケットの歯数の比で表され、この二次減速比を変更することで走行特性を調整できます。
二次減速比の計算方法は以下の通り。
二次減速比 = リアスプロケットの歯数 ÷ フロントスプロケットの歯数
例えば、Ape100の純正スプロケット構成であるフロント15T、リヤ33Tの場合、
二次減速比は 33 ÷ 15 = 2.2 となります。
これはフロントスプロケットが1回転するとリヤ(タイヤ)が約0.45回転するということを表します.。
1(回転あたり) ÷ 2.2(二次減速比) ≒ 0.45(リヤ回転数)
この比率を変更することで、加速性能や最高速度を調整できます。
例えば、リアスプロケットの丁数を増やすと二次減速比が大きくなり加速性能が向上しますが、最高速度は低下します。
逆に、リアスプロケットの歯数を減らすと、最高速度は上がりますが、加速性能は低下します。
Apeをはじめとする4miniのバイクでは、二次減速比の調整が走行フィーリングに大きな影響を与えるため、自分の走行スタイルや使用環境に合わせて最適な比率を見つけることが重要となります。
スプロケット変更を考えるタイミング4選
スプロケットの変更を検討するタイミングを4つ紹介します。
①パワーアップカスタムをした時
まず、エンジンのボアアップやマフラー交換などのパワーアップ時はスプロケット変更の好機です。
前述しましたが、エンジン出力が向上した場合、それに見合ったギア比に調整することでパワーアップの効果を最大限に引き出すことができます。
例えば、主に街乗りをしていた方が、長距離ツーリングを楽しむようになった場合、高速巡航性能を重視したギア比に変更することで、より快適な走行が可能になります。
逆に、峠道や山道でのスポーティーな走りを楽しみたい場合は、加速重視のギア比に調整することで、コーナリング時の脱出力を向上させることができます。
②スプロケットの摩耗時
次に、スプロケットの摩耗時です。通常、スプロケットの寿命はチェーンの2~3回の交換サイクルに相当しますが、スプロケットの歯が尖ってきたり波状の摩耗が見られる場合は、交換を検討するべきタイミングです。
③燃費を向上させたい時
①に関連した話になりますが、パワーアップを伴わなくても燃費向上のためにスプロケット変更を行うのは有効な手段です。
巡航速度でのエンジン回転数を下げるようなギア比に変更することで、燃費の改善が期待できます。
ただし、パワー・トルクが不足するようなセッティングにしてしまうと、エンストしたり、逆に燃費が悪化する原因になってしまうので注意が必要です。
④チェーンサイズ変更時
最後に、4miniカスタムではあまり無いと思いますが、チェーンサイズの変更時もスプロケットの交換が必要になります。例えば、4mini標準の420サイズから428サイズに変更する場合、それに対応したスプロケットに交換する必要があります。
Apeのようなコンパクトなバイクでは、スプロケット変更の効果が体感しやすいです。
自分の走行スタイルに合わせた最適なセッティングを探ることが、バイクライフをより楽しむコツとなるのではないでしょうか。
スプロケット変更によるエンジン回転数と最高速の変化
スプロケット構成とエンジン回転数の関係は、最高速度と乗り心地に大きな影響を与えます。
適切なスプロケット構成を選択することで、エンジンの特性を最大限に活かし、快適で効率的な走行を実現することができるのです。
ノーマル状態といくつかのスプロケット変更例を比較してみましょう。
①Ape100ノーマルセッティング
例えば、下の表のようにApe100純正のスプロケット構成(フロント15T、リヤ33T)では、5速・60km/hで走行する際のエンジン回転数は約6,000rpmになります。
②Ape100のスプロケおすすめセッティング
下の表はフロントスプロケットを16Tに変更した場合になります。
私がApe100のインシュレーター外しを実施した後に行いました(作業時の様子はこちら)。
これだと同じエンジン回転数約6,000rpmでも、速度は5速・63.9km/hに上がります。
これにより、高速走行時のエンジン負荷と振動の軽減、燃費向上につながりました。
個人的な感想ですが、ノーマルのApe100の場合はトルクに余裕があるため、街乗りメインの使用であればこのセッティングが最適だと感じました。
③パワーアップ後のスプロケセッティング
現在、私のApe100は専らヨシムラのパーツを使用してパワーアップさせています。
- マフラー:チタンサイクロン
- キャブレター:TM-MJN24
- ハイカム:ST-1カムシャフト
これにより、馬力・エンジン回転数ともにノーマルを大きく上回るパワーアップに成功しました。
まだトルクに余裕を感じたので、②のセッティングからリヤスプロケットを1丁落として32Tにしています。
さすがに6速・12,000回転までは回すことはありませんが、60km/h巡航時のエンジン回転数が低減され、走りやすくなっていると思います。
まとめ・感想
一般的に、エンジンには最も効率の良い回転数帯があり、Ape100の場合は5,000~6,000rpm付近だと言われています。
ギヤ比を調整して、巡航速度でこの回転数帯に入るようにすることで燃費を向上させることができますが、極端なギヤ比の変更はエンジンへの負担や乗り心地に大きく影響します。
滅多に交換機会があるわけではないですが、スプロケット選びはバイクの性能を最適化する上で重要な要素だと感じています。
自分の走行スタイルに合わせて最適な組み合わせを見つけるのも、4miniライフをより楽しむ一つのカギになると思います。
※バイクカスタムは手順・方法を誤ると怪我や事故の原因になる可能性があります。実施にあたっては必ず自己責任でお願いします。
当サイトにおいて紹介しているカスタムについては、予め保安基準・交通法規等を確認し法令の範囲内で実施しています。万が一そうでないケースがありましたら是非ご一報ください。よろしくお願いします。
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